私は数年前から「いつかは地方都市に移住したいなぁ~」と漠然と考えていました。 その想いがより強くなったのは、2019年GWに東北を、行き当たりばったりツーリングした時です。 GWだというのに無謀にも宿は全て飛び込み。 毎日が不安・驚き・感動の連続で、偶然泊まった、ある小さな町では、人々が美しい自然に囲まれて幸せそうに暮らしていました。 ある人は「若い頃は東京で働いていた時期もあったけど、今はこの町が大好き。」と言っていました。 その時「こんな地方都市で暮らすのも良いなぁ~」と思いました。
時は少し進んで2021年の夏。 60歳を迎えて定年となる2023年春を間近に控え、ふと「もし今の会社に拘らなければ、今住んでいる場所に拘る必要も全くないな。」と思った瞬間、背中に羽が生えたみたいに体が軽くなりました。 そして「そうだ、2023年春に今の会社を定年退職して地方都市に移住しよう。」と決めました。
別に都会暮らしが嫌だったわけでも、会社が嫌いだったわけでもありません。 仕事は大変な事もありましたが楽しかったし、趣味の筋トレ・水泳・バイク・食べ歩き・街歩きを楽しんで、充実した生活を送っていました。 でも定年を過ぎた後も会社に再雇用してもらい、これまでと変わらない生活をずっと続けることは、私にとっては少し退屈に思えたんです。 「60歳を契機に、ガラッと生活が変わるのも面白そうだな。」という好奇心が、移住決断を後押ししてくれたような気がしています。
それと私は、バツイチ独身子供無しだったのと、面倒を見るべき両親も既に他界していたことが大きかったと思います。 友人の一人に「良いなぁ~俺も地方都市に移住したいなぁ~」と言われことがあります。 「移住すれば良いじゃない?」と答えると、「俺は無理。 だって奥さんは都会派だから。」と言われました。 私は背負っているものが何一つ無かったので、自由に自分一人で決められました。
地方都市といっても、あまり田舎過ぎるのは嫌だったので、都会の便利さをある程度享受出来て、自然が身近にあり、スポーツクラブも近くにある都市。 移住候補地は、群馬県高崎市・山梨県甲府市・長野県松本市の3都市を選びました。 別にこれらの都市に強い思い入れがあったわけではありません。 3つから1つを選べば、自分が納得するかな?程度のものです。 それと私はバイクに乗っているので、昔から海よりも山の方が好きだったのもあります。
2021年12月から2022年2月にかけて3都市を下見旅行し、最後に訪れた松本が、松本城と、その周辺の街並みがお洒落で一番気に入りました。 それと何処からでも山が見えること。 ずっと松本に住んでいる人にとっては当たり前だと思いますが、都会から来た者にとっては、それだけで刺激的です。
寒がりの私が松本の冬に耐えられるか試す為、松本城のプロジェクションマッピングも見に行きましたが、何とか耐えられそうだと判断しました。 本当は最も過酷な季節の冬と夏に、3都市を2回ずつ訪れてから決める予定でしたが、松本が気に入ったので夏を待たずに決めました。 「この街に移住しよう。」と思った瞬間、高揚しました。
松本を選んだ理由の一つは、都心から遠過ぎず、近過ぎず、という絶妙な距離感です。 松本→新宿は特急あずさで2時間30分。 バイク仲間との泊りツーリングも、松本なら川崎と同じく、問題無く参加出来ます。 これが東北になってしまうと、もうバイク仲間とは気楽に会えず、私にとっては絶望的な遠さでした。
かと言って都心に気楽に行ける距離でも無いです。 特急で2時間半掛かりますので。 これが高崎や甲府だと、新幹線やあずさで1時間ですから、もう移住というよりも、郊外に気楽に出かける感覚でした。 松本は遠過ぎず、かと言って近過ぎず、覚悟を持って移住出来る、そんな感じだったのかもしれません。
それと私は雪が苦手なので、年に数回しか降雪しない中信(長野県中部)の松本なら、やっていけると思いました。